これから簿記を学ぼうと思っている人にとって、「簿記とは一体何なのか?」というところから学びたいという人もいるかもしれません。
簿記検定にはさまざまな種類がありますが、ちょっとよく分かってないということありませんか?
ですので今回は、「簿記とは一体何なのか?」についてご説明しますので、ぜひ、チェックしてみてください。
簿記とはなにか?
この記事では、さまざまな種類がある簿記検定から「農業簿記・工業簿記・商業簿記・建設業簿記・銀行簿記」について、ご紹介していきます。
簿記とは何か?
・簿記とは何か?
簿記とは一言でいえば、お金の動きの記録で、会社やお店では日々お金の動きが起こっています。
このお金の動きを帳簿に記録していくことを簿記と言います。
簡単に言えば会社の家計簿のようなもので、家の代わりに会社の毎日のお金の動きを記録することが簿記といえるでしょう。
・企業では「損益決算書」や「貸借対照表」
ただ、家計簿と異なるのは最終的に決算書と呼ばれる会社の経営成績を作成することです。
例えば、利益の記録などをまとめた損益決算書や会社の財務状況が分かる貸借対照表と呼ばれる書類を作成します。
また、簿記を行う場合は家計簿と異なり「借方・貸方」といったお金の動きを記録したリ、「勘定科目」と呼ばれる使い方の内訳を行ったりします。
たしかに勘定科目は家計簿でも使った目的などで記録しますが、簿記には厳密なルールが存在し、科目の決定も技術や知識が要求されるのです。
このように一見難しいように思える簿記ですが、基本を押さえてしまえばスムースな理解ができます。
さらに簿記を知ることで「損益計算書」や「貸借対照表」が分かり会社の財務の健康状態がよくわかるようになります。
農業簿記とは?
・農業簿記とは何か?
農業簿記とは、文字通り農業に特化した簿記のことで、農業も会社経営と同じくお金の出入りが発生します。
しかし、一般的な企業と異なったお金の動きをすることが多いため、農業簿記と呼ばれる分野が確立されています。
・農業簿記と他の違い「勘定科目」
主な違いとして勘定科目が独特、棚卸が違う、資産が生物、書式が違うといった4点です。
まず、一般企業では使われない勘定科目である、種苗費、ひなや仔牛など購入した素畜(もとちく)費などが登場します。
さらに土地改良費や生物と呼ばれる独特の勘定科目が存在します。
・農業簿記と他の違い「棚卸し」
次に「棚卸」も異なる点も特徴であり、在庫になっている農産物や栽培中の仕掛品、肥料や飼料などの原材料、さらには大量の燃料などは貯蔵品としてカウントします。
資産が生物という点も特徴で、果樹や野菜、家畜などは生物として仕分けを行い、減価償却も特殊です。
さらに「育成仮勘定」という仮の資産にする会計処理も行われます。
・農業簿記と他の違い「書式」
最後が書式が異なり、確定申告などを行う場合、一般的なお店と異なり、農業専用の書式で作成します。
このようにかなり独特な簿記になるので、一般社団法人 全国農業経営コンサルタント協会によって農業簿記検定なども実施されています。
工業簿記とは?
・工業簿記とは何か?
工業簿記とは工場などの製造関連の仕事に利用される簿記のことで、こちらも独自の勘定科目の存在、財務諸表が違う、計算期間が違うといった点で、一般的な簿記と異なります。
・工業簿記と他の違い「勘定科目」
まず、勘定科目は材料、仕掛け品、製品といった勘定科目があり、これは工業簿記独特のもので、一般的な簿記では利用されません。
財務諸表は一般的な簿記にもありますが、工業簿記の場合、商品を製品としたり、損益計算書の当期商品仕入高を当期製品製造原価といったような書き方になります。
・工業簿記と他の違い「会計処理」
また、会計処理に対しても若干異なる場合も少なくありません。
計算期間も独特な面があり、例えば原価計算期間と呼ばれる会計方法があり、これは通常1か月ごとに決算(月次決算)を行うようになっている会計のルールです。
月次決算は迅速な経営上の決定を下すために行われる手法で、工業簿記ならではの特徴といえるでしょう
通常1年で決算を行う、他の産業にはない点が工業簿記にはあります。
商業簿記とは?
・商業簿記とは何か?
商業簿記とはいわゆる一般的な簿記のことを言い、一般的な企業や商店、小売業などが利用する簿記で、利用されるケースも非常に多いのが特徴です。
資産、負債、資本の増減などを把握して簿記を行うスタイルで、簿記の基本形ともいえるでしょう。
商品を外部から購入して、販売し、利益がどのくらい出たかといった一連のお金の動きを記録していきます。
借方と貸方と呼ばれる用語を利用してお金の動きが分かるようになっており、商品の売買と現金の授受の日が異なる場合は掛け取引などの記録を行ったりもします。
・全ての簿記の基礎となっているもの
先ほど触れた通り全ての簿記の基礎となっているもので、簿記や会計を学ぶうえで最初に覚える基本的な知識が商業簿記といえるでしょう。
もちろん商業簿記自身もより発展した企業簿記や高度な簿記などが存在し、一番簡単な簿記という訳ではありません。
シンプルな内容の簿記ではありますが、奥深い簿記といえるでしょう。
ただ、企業も事業が複雑化しているため、必ずしも商業簿記だけで対応できるものではない点も注目です。
建設業簿記とは?
・建設業簿記とは何か?
簿記には建設業簿記も存在し、建設業も他の産業とは異なり、独自の経理が存在します。
一般的に建設業の簿記は建設業会計と呼ばれ、計算方法も特殊な点がいくつかあり、工事の扱い、独特な科目の2点です。
・建設業簿記の特徴
工事が完了するまでに発生した費用の扱いを未成工事支出金として扱うことで、この扱いは工事が完了した際に売り上げから差し引くという方式です。
そのため、実際に出費が発生しているものの帳簿上は未成工事の費用として後で差し引くといったことを行います。
現在は、より正確な方法として工事日進行基準と呼ばれるものが用いられており、工事を進めながら経費を計上していく方法を採用しているのが特徴です。
これによってリアルタイムで出費が確認できるのですが、両方の方式を覚えておくのがおすすめです。
・建設業簿記と他の違い「勘定科目」
科目も独特で、例えば、工事が完了した時に得られる収益として完成工事高やその経費である完成工事原価などがあります。
また、工事を行う前に発生した経費も未成工事出金として発生するのが特徴です。
こういった特殊性から建設業経理士といった資格もあります。
銀行簿記とは?
・銀行業簿記とは何か?
預金金受入れ、資金貸出し、為替取引などを行う銀行で用いられる会計方法である銀行簿記とは、基本的に一般的な簿記を利用していますが、現金の収支を伴わない取引も現金口座を介して記録します。
・銀行簿記の特徴「試算表」
この銀行簿記の特徴は、商業簿記同様、複式簿記の仕組みを基礎としていますが、現金式仕訳法といった方式の他、試算表の作成、支店と本部で簿記の内容が違うといった点が挙げられます。
試算表は、取引の記録の照合のために作成されるもので、銀行では毎日作成されるのが特徴です。
日本の銀行店舗が3時に閉まった後に作成されているのが、この表になります。
・銀行簿記の特徴「総勘定元帳」
これら以外にも振替出金伝票などの伝票を使った方法を利用している点なども特徴があります。
また、各支店ごとに総勘定元帳(バランスシート)を作成し、営業本部(多くは本店)でさらに計算するなどの作業を行う点も独特といえるでしょう。
基本は一般的な簿記ですが、試算表や各種伝票、試算表による記録照合、支店ごとにバランスシートを作成する点が特徴的といえます。
ちなみに一般的な簿記から発展した簿記に思われますが、むしろ銀行簿記に用いる複式簿記が一般的な簿記に採用されるなど、一般的な簿記のもとになっている面もあるのも注目です。