危険物取扱者

危険物取扱者(乙1〜6類)のできる仕事について徹底解説

2022-12-04

専門的な知識に基づき、危険物取扱のプロフェッショナルとして人気の危険物取扱者というのは知られていると思いますが、具体的に「どんな仕事するんだろう?」とよくイメージが湧いてない方もたくさんいらっしゃいます。

ですので今回は、危険物取扱者試験合格を目指す受験生の方々に向けて、「危険物取扱者(乙1〜6類)の仕事とはどんなものか?」ということを簡単にお伝えします。

危険物取扱者(乙1〜6類)のできる仕事

  • 乙種第1類:酸化性固体。不燃性物質で酸化されやすい物質に触れると燃焼・爆発する固体
  • 乙種第2類:可燃性固体。比較的低温で着火(引火)しやすく激しい燃焼を起こす固体
  • 乙種第3類:自然発火性物質及び禁水性物質。 水をかけると発火するという一般常識を覆す物質特性を有する物質
  • 乙種第4類:引火性液体。第1~第4の石油類とアルコール類、動植物油類など
  • 乙種第5類:自己反応性物質。分子内に酸素を含んでいる。 引火性を有するもの
  • 乙種第6類:酸化性液体。不燃性の液体である。 水と激しく反応し、発熱するものがある

危険物取扱者 乙1類のできる仕事とは?

「危険物取扱者 乙1類」の資格を取得すると、金属加工工場や化学工場、分析会社などで働けるようになります。

危険物取扱者 乙1類は塩素酸塩類、過塩素酸塩類、硝酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類などの酸化性固体の取り扱いと立ち会いができる資格です。

塩素酸塩や硝酸塩は化学合成のプロセスでよく用いられているため、化学薬品の製造販売をしている企業では重宝されています。有機合成の技術があれば現場で酸化性固体を自ら取り扱って仕事をすることもできます。

過マンガン酸塩類の過マンガン酸カリウムは薄層クロマトグラフィーにおける呈色試薬などとして使われているため、分析会社で仕事をすることも可能です。

また、危険物取扱者乙1類になると金属の防錆処理剤として用いられている重クロム酸塩類を使用できるため、金属加工工場でも需要があります。

ボルトやナットなどの金属部品の製造では重クロム酸塩による処理が一般的におこなわれているため、工場では危険物取扱者の有資格者が欠かせない存在になっています。

危険物取扱者 乙2類のできる仕事とは?

「危険物取扱者 乙2類」の資格を取得すると、固形アルコールやラッカーパテなどの製造工場や化学工場などで働けるようになります。

危険物取扱者乙2類の資格があると可燃性固体の赤りん、硫化りん、硫黄、鉄粉などの金属粉などの取り扱いと立ち会いができます。

固形アルコールやラッカーパテなどの製造ではりんがよく用いられているため、製造工場では危険物取扱者の資格を持っている人が必要です。

また、化学工場では鉄粉などの金属粉を還元剤として用いたり、有機合成試薬として使用したりすることがよくあります。

農薬や医薬品などの工場のプロセスでも安価な金属はよく試薬として使われているため、危険物取扱者は欠かせない存在です。

危険物取扱者乙2類は合成化学系の試験研究をする工場や研究施設でも必要になります。自分自身が合成化学者やプロセス設計者などとして活躍することもできますが、危険物の管理担当者として第2類の可燃性固体の数量管理や安全対策などに特化して働くことも可能です。

危険物取扱者 乙3類のできる仕事とは?

「危険物取扱者 乙3類」の資格を取得すると、化学工場や化学系・物理系の研究所などで働けるようになります。

危険物取扱者乙3類が取り扱いや立ち会いができるのは自然発火性物質及び禁水性物質で、カリウム、ナトリウム、アルキル金属、黄りん、有機金属化合物、金属の水素化物が代表例です。

アルキル金属や自然発火性のあるカリウムなどの金属、金属水素化物は有機合成で欠かせない試薬として汎用されています。

特に大規模な化学系の製造工場ではリスクが高いことから利用するケースが少なくなっていますが、研究所レベルの小規模な施設ではよく用いられています。研究開発をしている化学系の企業であればほとんどを職場の候補にすることが可能です。

物理系の研究施設でも単体の金属や水素化物を使用している場合があるので職場の候補にできます。

危険物取扱者乙3類の有資格者として数量管理などに特化して働ける職場はあまり多くはなく、化学系や物理系の研究開発も仕事にすることになるのが一般的です。

危険物取扱者 乙4類のできる仕事とは?

「危険物取扱者 乙4類」の資格を取得すると、ガソリンスタンドや石油工場、食品会社などで働くことができます。

危険物取扱者乙4類は第1~第4の石油類とアルコール類、動植物油類などの取り扱いと立ち会いができるのが特徴です。

ガソリンや灯油の取り扱いができるので、ガソリンスタンドでは欠かせない存在です。タンクローリーで原油や石油を運搬するドライバーも資格が必要なので仕事の候補になります。原油を精製している石油工場でも危険物取扱者として、乙4類のように石油類を取り扱える人が不可欠になっています。

また、食品会社でも大量の植物油を使用していることが多いため、工場や倉庫などで働くことができます。

危険物取扱者乙4類はアルコール全般を使用できるので、いわゆる消毒用アルコールなどのアルコール類を製造販売している企業でも有資格者が欠かせません。

石油類やアルコール類は機械類の洗浄などにも用いられることが多いため、電気電子部品工場などでも危険物取扱者乙4類の有資格者のニーズがあります。

危険物取扱者 乙5類のできる仕事とは?

「危険物取扱者 乙5類」の資格を取得すると、プラスチックなどのポリマーの工場や研究所、科学系の工場や研究所などで働くことができます。

危険物取扱者乙5類の資格があると自己反応性物質の取り扱いと立ち会いが可能で、典型的なのは有機過酸化物、アゾ化合物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、ヒドラジンの誘導体などです。

ポリマー合成ではラジカル開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物や過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物が頻繁に用いられています。プラスチックやポリマー原料の製造をしている工場や研究所では必須の危険物なので有資格者の需要が高くなっています。

また、ニトロ化合物やニトロソ化合物、ジアゾ化合物などは有機合成試薬としてよく用いられています。

化学試薬の製造工場や、有機合成をしている医薬品・農薬・化学品などの工場・研究所などでも危険物取扱者乙5類の資格があれば仕事ができます。

どの職場でも研究員を兼ねることが多いですが、大きな工場では管理業務に特化することも可能です。

危険物取扱者 乙6類のできる仕事とは?

「危険物取扱者 乙6類」の資格を取得すると、清掃業者や金属加工工場、食品工場、飲料工場、化学工場などで働けるようになります。

危険物取扱者乙6類は酸化性液体の過塩素酸、過酸化水素、硝酸などの取り扱いと立ち会いができ、特に頻用されているのは過酸化水素と硝酸で、どちらか一方でも取り扱っている場合には有資格者が必要です。

清掃業者では過酸化水素や過塩素酸による漂白をおこなっていることがあるため、危険物取扱者乙6類の需要が高くなっています。

金属加工工場では酸洗いによる表面処理で賞賛を使用することがあり、食品工場や飲料工場では過酸化水素が食品添加物として認められているため、食品加工の機器類の殺菌や飲料容器の殺菌などによく用いられています。

このような現場では他の危険物の取り扱いがない場合も多く、危険物取扱者乙6類の有資格者の需要が比較的高いのが特徴です。

また、化学工場でも過酸化水素や硝酸などを使用するケースが多いため、資格があれば仕事に携われる可能性があります。

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