行政書士は、役所(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出するあらゆる書類を本人に代わって作成し、それらを官公署に代理で提出する届出代行などを行える許認可業務のスペシャリストです。
その行政書士は合格率10%の難関試験ですが、「行政書士試験で社会人が独学で苦労する、、、」という声があるのも事実です。
そこで、この記事では、皆さまが無駄に不安にならないように「行政書士試験で社会人が独学で苦労することと解決法」を先に学んでおくことで、しっかりと行政書士試験の勉強を進められるように、
- 行政書士の独学は働きながら無理?
- 行政書士試験を独学で目指す社会人に立ちはだかる壁
- 公務員(自衛隊・警察官含む)は行政書士試験の免除制度がある?
- 行政書士試験は50代60代の社会人でも合格できるか?
- 行政書士試験で合格するための社会人独学勉強法
などについて詳しく解説していきます。
この記事の目次
行政書士の独学は働きながら無理?
・行政書士試験の合格率
2021年度(令和3年)行政書士試験の合格率は11.2%。合格できるのは約10人に1人の割合で決して簡単ではありません。十分な勉強を積み重ねなければ、合格は難しいです。行政書士試験合格のためには、法学初学者でおおよそ800時間の勉強時間を確保する必要があると言われますので、フルタイムで働きながら独学で合格を目指すのはかなり険しい道のりです。働きながら独学で合格することは不可能ではないものの、誰でも合格できるほど生易しいものではありません。
・働く社会人には合格までの条件が厳しい
仕事にもよりますが、日々の業務で体力的にも精神的にも疲れます。その仕事が終わった後に勉強する時間を確保して打ち込むのは辛いことで、覚悟を決めて取り組まないといけないです。また、平日勉強できないのを休日にカバーする場合も、6〜10時間も勉強に時間を割かないといけません。必然的に休日は遊べなくなりますから、家族の協力も必要となりますので、限られた受験期間を設定して、その中で時間を有効活用しないと合格するのは難しいです。
・働きながらでも合格は狙える
ただ、厳しい条件は揃っているものの、日々働きながら独学で行政書士試験に合格した人がいるのも事実です。趣味や娯楽の時間を捨てて、諦めない強い覚悟を持ち、隙間時間などを活用しながら効率的に勉強すれば、働きながらでも行政書士試験の合格が見えてきます。簡単には合格できないものの、絶対に不可能なわけではないということを覚えておいてください。
行政書士試験を独学で目指す社会人に立ちはだかる壁
行政書士試験を独学で目指す社会人には、簡単には乗り越えられない壁「勉強時間・睡眠時間」の二つが立ちはだかります。その壁を乗り越えない限り、行政書士試験には合格できませんので、計画的に学習を進めなければなりません。
・立ちはだかる壁①:勉強時間の確保
社会人は働きながら行政書士試験の合格を目指すことになるので、どうしても勉強する時間が足りなくなります。たとえば仕事が繁忙期にさしかかって残業続きだったら、帰宅後に勉強する時間を作るのはほとんど不可能です。仮に勉強する時間が作れたとしても、体も心もグッタリ疲れている中では集中力は低下し、内容の理解や暗記は進みません。勉強する時間が足りなければ予定していた学習スケジュールも狂うため、試験合格からどんどん遠ざかってしまいます。勉強するための余裕を作れないのが、独学で目指す社会人に立ちはだかる壁です。
・立ちはだかる壁②:睡眠時間の確保
また、勉強する時間をどうしても作ろうとするため、睡眠時間を削ってしまって辛くなるのも社会人の壁です。働いていなければ多少睡眠時間が少なくなっても昼に寝てカバーできますが、社会人は日々働かないといけません。仕事を休むわけにはいきませんので、深夜に勉強する時間を作るとその分寝不足になります。他にも貴重な休日に遊べないことで不満が募りストレスを溜め込みやすいですし、独学で目指す社会人に立ちはだかる壁は間違いなく高いです。
公務員(自衛隊・警察官含む)は行政書士試験の免除制度がある?
・試験免除で行政書士資格登録が可能な制度
2021年度(令和3年)行政書士試験の合格率は11.2%ということからもわかるように、行政書士試験に合格するのは決して簡単ではありません。そんな難関試験に分類される行政書士試験ですが、公務員の勤続年数によっては試験が免除される制度があります。つまり、試験を受けなくても行政書士としての資格登録が可能です。公務員は行政書士との関連性が高い職業で、行政の事務作業を日常的におこないます。
・免除制度は長い勤務実績が必要
行政書士と公務員の試験の出題範囲が似通っているのも、免除制度がある理由の1つです。ただ、公務員でも免除制度を使わずに試験を受けるケースもあります。なぜなら、資格を得るまでに長い年数が必要だからです。公務員が行政書士の資格を得るには、通算で17年以上勤務する必要があります。ただし、中卒の場合は20年以上です。公務員なら誰でも免除制度が適用されるわけではありません。最低でも勤続年数が17年以上なければいけないため、長期間働いた実績がないと免除制度の対象からは外れてしまいます。
・勤続年数の条件さえ満たせば免除制度
そもそも行政書士は、行政に関わる事務に特化した専門的な職業です。一方の公務員も役所勤務などで法律のもとにさまざまな書類を作成しますので、勤続年数の条件さえ満たしていれば免除されます。
行政書士試験は50代60代の社会人でも合格できるか?
・50代60代で行政書士試験合格は可能?
行政書士試験は難易度が高いので合格するのは厳しい道のりですが、仮に50代60代の社会人でも合格できる可能性はあります。今は50代60代になってもバリバリ働く人が増えていて、働き盛りの年齢ながら合格を目指すケースがめずらしくありません。仕事をしながら行政書士の勉強をするのは若い人でも骨が折れますが、仕事の合間に時間を作ってコツコツと勉強を続けていけば合格する可能性があります。50代で合格する割合は決して低くありません。若い人でなければ合格できないわけではないです。
・50代60代の合格率は?
ちなみに、行政書士試験研究センター「試験結果分析資料」発表のデータによると、2021年度(令和3年)合格者の内訳は、10歳代0.8%、20歳代20.8%、30歳代28.4%、40歳代25.7%、50歳代17.7%、60歳代以上6.6%となっていますので、合格率は低いですが、十分に合格できるチャンスはあると言えます。
・50代60代での受験は今までの知識や経験を活かせる
50代60代の働き盛りに行政書士の試験を受験するぐらいですから、若い人のようにとりあえずお試しで受験するケースは少ないといえます。本気で合格を目指して受験する人が多いです。50代60代は体力的に衰えが見え始める年齢ですが、その分、今まで培ってきた豊富な経験や知識があります。どのように勉強すれば長く続けられるのか、どこで休息を取れば良いのか、合格するためのコツはどこにあるのかなど、経験を武器に行政書士の勉強に取り組めるのが50代60代の強みです。誰でも合格できるわけではないものの、50代60代という年齢を理由に諦めるのは惜しいです。50代60代でも合格する可能性はあります。
行政書士試験で合格するための社会人独学勉強法
働いているため勉強する時間が限られている社会人が行政書士試験で合格を勝ち取るためには、いくつかのコツを押さえる必要があります。ただやみくもに勉強しても合格できませんので、独学に向いている勉強法を取り入れるのがポイントです。
・全体像を学んで具体的なポイントを勉強
まずはテキストと問題集をそれぞれ最低で1冊ずつ購入します。最初に取りかかるのは、テキストを全体的に確認して大まかな内容を知ることです。そうすることで行政書士の概要がイメージできます。概要がイメージできたら、次は項目ごとにじっくりとテキストを読んでいきます。内容を理解することを最優先し、わかるまで読み込みます。
・自分の言葉でとにかくアウトプット
読んだら学んだ内容が記憶に残っているのかを確かめるために、該当する項目の問題集を解いていきます。記憶に残ってないことが悪いことではなく、アウトプットすることで記憶に止まってない記憶が何かを明確にします。自信が持てるようになるまで問題集を何度でも解くことが大切です。理解があやふやなままでは、試験の合格は見込めません。時間はかかってしまうかもしれませんが、根気強く続けていく必要があります。
・過去問で出題形式を理解する
問題集を一通り解き終わったら、最後に模試を受験したり予想問題集・過去問を解いて仕上げに取りかかります。そうすることで、過去にはどのような形式で出題されていたのかが理解できますし、勉強が行き届いていなかった部分を効率的にカバーできます。社会人が独学で合格を目指すなら、この勉強法がおすすめです。