合格率10%の難関資格である行政書士試験を合格するのは、簡単ではありませんよね。日々の仕事は忙しく、なかなか試験勉強する時間を確保するのも難しいと思います。
ですので、いかに効率的に時間を上手く使って勉強するかが重要になります。
今回は、あなたが合格率10%という数字を乗り越え合格して頂くために、まずは行政書士試験科目というものを知り、しっかりと対策を立てて、勉強を効率的に進められるよう、徹底解説しました。
ぜひ、ご覧ください。
この記事の目次
行政書士の試験問題科目を徹底解説!
これから行政書士試験を合格してからの独立を目指している人にとって、行政書士試験は合格しなければなりません。
今回は行政書士初学者の方に向けて「行政書士の試験科目」について解説します。
行政書士試験の合格基準
行政書士試験の合格基準は、全体の60%前後が取れれば合格です。
前後と説明したのは、その年に不適切問題があったり、全体の平均点があまりに低かった場合に若干の補正が入ることが挙げられます。
ただし、その補正は数点~十数点程度なので、実質60%以上を確実に取っておけば合格することになります。
そう考えると、苦手な科目を捨てて得意科目で満点を取るつもりで受ければ受かると思う方も少なくないはずです。
しかし、行政書士試験では構成される法令と一般知識の問題のそれぞれにボーダーが設けられています。
そして、それを切った場合は全体で60%を超えていても不合格です。この基準についても法令等科目と一般知識のそれぞれを解説していきましょう。
【法令等科目の合格基準】
まず、法令等科目の場合は244点中122点以上、つまり50%以上の正答率が求められます。
行政書士は法律の知識が必須なので当然といえるかもしれませんが、最低点数は高めに設定されているのが特徴です。
【一般知識科目の合格基準】
一方、一般知識は56点中24点と40%強程度の正答率でも問題ありません。
一般知識は、時事問題のような問題も聞かれることがあり、意外に点数が取りにくい科目です。
そのため、低めのボーダーになってはいるものの、対策の立てにくさを考えると、決して低いボーダーではありません。
このように全体で60%の正答率さえ取れれば合格できるので、考え方によっては40%を落としても受かる試験です。
合格率が15%程度の試験ではありますが、決して合格が不可能な試験とは言えません。
行政書士試験の出題範囲と出題数
行政書士試験の出題範囲と出題数を解説していきます。出題範囲は、法令等科目と一般知識に分けて説明します。
【法令等科目の出題範囲】
まず、法令等科目は正式名を「行政書士の業務に関し必要な法令等」と言い行政書士に必要な法令を中心に多くの法律問題が出題されます。
その範囲は、次の5つの法律です。
- 憲法
- 民法
- 行政法
- 商法(会社法のみ)
- 基礎法学
この5つの法律のうち、行政法は多岐に渡ります。
行政書士のメインとなる法律のため、詳細な知識が求められ、範囲もそれに対応しているのが特徴です。
そして、対象となる行政法は次の6種類です。
- 行政法の一般的な法理論
- 行政手続法
- 行政不服審査法
- 行政事件訴訟法
- 国家賠償法
- 地方自治法
これらの法律や知識は確実に押さえておく必要があります。
ただ、日本の行政法のうちの一部であり、全てではない点に注目です。
ちなみに商法も商行為法、保険法、有価証券法、海商法など様々なものがありますが、そのうちの会社法のみ出題されます。
【一般知識科目の出題範囲】
一般知識は、「行政書士の業務に関連する一般知識等」と呼ばれる科目で、こちらの出題範囲は広範です。
大まかに紹介すると次の3つに分類されます。
- 政治、経済、社会
- 情報通信、個人情報保護
- 文章理解
時事問題や社会のシステム、文章読解力などを求められる範囲での出題になります。
明確な線引きがされていないので、意外な問題が出題されることも珍しくありません。
例えば文書読解は、昭和初期の小説から出題されるなど、大学入試のような問題が出てきます。
【行政書士試験の出題数】
次に、行政書士試験の出題数を解説します。
法令等科目と一般知識に分けられ、それぞれ46題、14題に設定されています。
法令等科目は問題数が少ないものの、300点満点の過半数を占めており、かなりウェイトの高いものになっているのが特徴です。
午後1時から4時の3時間の試験が行われる行政書士試験ですが、その中でも多くの時間を法令等科目で費やされることになります。
これらのような出題範囲と出題問題数が行政書士試験の構成です。
行政書士試験の出題形式
行政書士試験の出題形式は、5肢択一式、多肢選択式、記述式に分けられます。
【出題形式:5肢択一式問題】
5肢択一式は、5つある選択肢のうち1つを選ぶもので、文章の中から誤っているもの、正しいものを解答する形式です。
ただ、文章が5つ並んでおり、そこから正しい組み合わせを選ぶ問題も出題されます。
例えば、ア~オまでの文章が並び、解答には「1 ア・イ」などの組み合わせを選ぶ形です。
こちらは1問4点で法令等科目30問、一般知識14問(全問)出題されます。
【出題形式:多肢選択式問題】
多肢選択式は、法律に関する文章が虫食いになっている形式です。
この虫食い部分に下の欄で羅列された20個ほどの単語を選んで入れていく方式になります。
虫食い部分は4つ程度なので、20個の中から選ぶのは意外に時間がかかります。
こちらは1問8点で、法令等科目に3問出題されているのが特徴です。
【出題形式:記述式問題】
最後が記述式問題です。記述式というと曖昧な論述を求められる試験のイメージがあります。
しかし、行政書士試験では評価がしやすいように45文字の空欄へ簡潔に記載して解答する形式です。
これは配点が大きく、1問20点と設定され、法令等科目で3問あります。
これらの配点と問題形式で行政書士試験は進められていきます。
行政書士試験の法令科目対策
行政書士試験の最も大きなウェイトを占めるのが法令等科目です。
【対策:勉強する順番は?】
この形式の学習ポイントは、法律の順番を決めて学ぶ、一気に勉強する、過去問で何度も演習するといったポイントが挙げられます。
法律の順番は、憲法、民法、そして行政法に移っていくのがポイントです。
憲法は、日本の法律のすべてのベースであり、大原則となっている法律です。この法律が理解できないと他の法律が理解できません。
そして民法は、行政法の原則のような法律になっているため、この法律を学ぶことによって行政法のシステムの理解ができるようになります。
いきなりメインの行政法を勉強すると、挫折することが少なくありません。原理原則、法律のルールや傾向を理解するうえで、憲法と民法を先に学びましょう。
【対策:分からない問題が出たら、、、?】
多少途中でわからないことがあっても一気に勉強するのもポイントです。
勉強する量が多いこともありますが、読んでいくうちに分からなかったところが分かるようになってくるからです。
まずは、分からないところを無視していけるところまで行きましょう。最初は3割も理解できないケースがざらにあります。
【対策:過去問も勉強する?】
過去問をベースに勉強するのもポイントです。毎年行われる行政書士試験の半分は、過去問をベースに発展させた内容になっています。
つまり、過去問が理解できれば行政書士試験も理解できるようになってくるのです。
法律を勉強しつつ、過去問で分からなかったところを調べて理解し、それを解けるようになることで、合格ラインに近づきます。
このようにして対策しましょう。
行政書士試験の一般知識対策
先ほど行政書士試験の一般知識対策は難しいといったことに触れました。しかし対策は十分できます。
ここでは分野ごとのポイントを紹介しましょう。
【一般知識対策:政治・経済・社会】
まず、政治・経済・社会は過去問の繰り返し演習とネットニュースを見る習慣を身に着けることです。
最初は芸能などに目が行きますが、意識して政治、経済といった話題を見るようにします。
すると知らない単語が出てくるので、すぐにネットで調べるようにすると解答しやすくなります。
【一般知識対策:情報通信・個人情報保護】
情報通信・個人情報保護は、情報通信の場合用語を知っておくと解答が容易です。
トレンドの用語、例えば5Gやマイナンバーカードなど気になる話題をチェックするのがポイントといえるでしょう。
個人情報保護は、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、情報公開法、公文書管理法といった法律の条文知識が問われる、実質法令科目です。
法令科目で説明したポイントを押さえて勉強しましょう。
【一般知識対策:文章理解】
文章理解は、法令科目を勉強していると自然に身につきます。
過去問を中心に対策するのがおすすめです。
行政書士試験は一発合格できるのか?
行政書士試験は一発合格できます。実際に多くの方が一発合格しているからです。
それでも15%という低い合格率になってしまっているのは、受験を予定していたけど日々の仕事に追われ、毎日が忙しくて受験勉強できなかったといった方や、行政書士の初学者で難解な専門用語などで戸惑ったり、理解が追いつかず途中で挫折した方が多分に含まれていることが挙げられます。
きちんと対策をして、過去問がスムーズに回答できるようになれば、一発合格は決して難しいものではありません。
行政書士の偏差値はどのくらい?
参考までに行政書士の偏差値を他の難関国家資格と比較してみました。
- 弁護士:75
- 公認会計士:74
- 司法書士:72
- 税理士:72
- 中小企業診断士:63
- 社会保険労務士:62
- 行政書士:60
- FP1級:58
行政書士は偏差値60程度となっており、中小企業診断士や社労士と同レベルということが分かります。
行政書士試験に合格するのは簡単ではありませんが、一発合格は十分に可能な資格といえます。