公認会計士は、企業の財務情報・決算会計が公正であることを検証し、日本の株式市場の正しさを保証する「会計監査のプロフェッショナル」というのは知られていると思いますが、具体的に「どんな仕事するんだろう?」とよくイメージが湧いてない方もたくさんいらっしゃいます。
ですので今回は、公認会計士試験合格を目指す受験生の方々に向けて、「公認会計士の仕事とはどんなものか?」ということを簡単にお伝えします。
この記事の目次
公認会計士って、どんな資格?

「公認会計士」の資格とは?
公認会計士は、日本の三大国家資格と言われる「医師・弁護士・公認会計士」と言われる一つで、会計関連の士業資格で最高峰の資格です。
簿記や税理士といった士業資格はいずれも難関資格ですが、それ以上の資格として認知されています。
実際に企業の会計関連におけるトップである取締役経理部長や最高財務責任者(CFO)は公認会計士であることも少なくありません。
「公認会計士」どんな仕事ができるの?
税理士の業務も行えることから税務の申請代行だけでなく会計関連のコンサルティング、さらには後述する企業の監査といった業務も行っています。
このような資格を持つ公認会計士は、主に税理士法人や会計事務所といった場所に所属し、会計のあらゆる分野で活躍している資格です。
資格はもちろん国家資格で、会計のプロフェッショナルである公認会計士の主な業務である監査、税務、コンサルティングの3つの業務について次の項目で解説していきます。
公認会計士の仕事(監査)

・公認会計士の業務「監査」とは?
公認会計士の業務に監査がありますが、これは会社が作成した会計書類を適正かどうか確認し、意見を述べる業務になります。
対象となる書類は主に損益計算書と貸借対照表です。
「損益計算書」はPL(Profit and Loss Statement)とも呼ばれる会計資料で、企業の収益、費用、利益が記載されているもので、どんなことに費用を使い、売り上げはどの程度上がり、そして利益はいくら出たのかを証明する書類です。
銀行が融資をしたり、上場企業であれば、株価に大きな影響を与えたりといった重要な指標とされています。
そして「貸借対照表」は、会社の健康診断結果報告書のようなもので、決算日時点の財政状態を表す書類で、負債と純資産を合算した総資本と総資産がまとめられています。
・「貸借対照表・損益計算書・バランスシート」などで財政状況を判断
その企業の資産の状態、使い道と資金の調達方法がまとめられたもので、バランスシート(B/S)と呼ばれるものです。
これも会社が持っている資産の情報で会社の財政状況が分かります。
いずれも会社の状況を把握する資料なので、会計を改ざんしてよく見せようとする企業も少なからずありますが、こういった企業を出さないために、公認会計士は適正かどうかをチェックし、会社が正確な会計を行っているかどうかを判断する業務です。
この業務は公認会計士の独占業務であり、この仕事ができるのは公認会計士の免許を持っている方だけです。
つまり、公認会計士のメインの業務が「監査」といえるでしょう。監査法人と呼ばれる組織は、公認会計士が集まって大きな企業の監査を分担して行っていたりもします。
公認会計士の仕事(税務)

・公認会計士の業務「税務」とは?
公認会計士は、税務や会計業務も行うことができますが、この業務自体は税理士ですが、公認会計士の免許を持っていれば、税理士会に入会して税理士登録するだけで業務ができるのが特徴です。
言い換えれば登録していなければできない業務ですが、多くの公認会計士がこの登録を行って税理士業務を行っています。
時折、税理士と公認会計士の業務が混同されて認知されることがありますが、その理由として両方の資格を標榜していることが挙げられます。
・公認会計士が行う「税務や会計業務」について
ここで、税務や会計業務について具体的に説明していきましょう。
まず、税務業務は各種の税務書類の作成や税務相談で、税務書類は税務官公署に対する申告書、申請書、請求書を指します。
身近なものとしては確定申告書や中間申告書がイメージしやすいのではないでしょうか。
公認会計士は税理士会登録をすることで、この業務もできます。
企業に対しては財務諸表や決算書の作成や従業員の年末調整をおこなったり、税務署の対処に対して不服申し立てを代行することも行っているのも注目の業務内容といえるでしょう。
さらに、税務相談として、これらに関する相談も気軽に行ってくれますが、公認会計士としての視点も持っているため、税理士よりも幅広い観点からアドバイスできる場合も少なくありません。
加えて税務当局からの調査が入った場合の対応や支援も行っており、心強い存在となってくれるでしょう。
クライアントの多くが、この税務や会計業務に関する依頼を公認会計士に行うので、公認会計士の収入源の大きな柱になっているのが特徴です。
公認会計士の仕事(コンサルティング)

・公認会計士の業務「コンサルティング」とは?
公認会計士の業務で意外に知られていないのがコンサルティング業務で、これは会社の経営に関するアドバイスや指導を行う業務になります。
社会の経理に関するシステムのアドバイスや、ある程度の企業規模になった場合は、資金調達として株式公開(証券取引所への上場)などの提案を行ったりもします。
また、必要な業務に関しては公認会計士自身が直接携わって対応することも少なくありません。
さらに企業の命運を決める事業再編や業容拡大のための「M&A」といった法律的な問題も絡んだ会計の方面からもアドバイスを行ったりもします。
もちろん税務の分野からもアドバイスを行うので、納税を円滑に行うためのサポートや必要に応じて、税金の減免制度の紹介や利用の提案といったアドバイスも可能です。
公認会計士の仕事内容一日

・公認会計士は毎日どんな仕事してるの?
公認会計士は様々な方がいますが、典型的な公認会計士の一日を紹介しましょう。
意外に思われるかもしれませんが、公認会計士はクライアントの事務所で過ごすことがほとんどです。
対象となる企業の監査は、膨大な会計資料のチェックといった業務が行われるため、直接企業へ訪問し常駐することで監査しています。
会計事務所に出社して訪問するか、そのまま直接クライアント企業に訪問することから一日がスタートします。
そして、社内にある請求書や領収書をチェックして帳簿と比較したり、財務担当者からヒアリングを行ったりして監査業務をするのです。
深夜まで常駐することはできないため、夕方には退社し会計事務所に戻り、そこで残った仕事を行ったり、明日の予定を立てたりして一日が終わります。
・公認会計士が働く場所はさまざま
また、税務を中心に行っている公認会計士は、税務関係書類を会計事務所で作成したり、クライアント企業に訪問したりと様々な場所に移動して業務を行う形です。
ライフワークバランスを重視する風潮にありますが、クライアント企業の状況によって仕事量が膨大になる場合は、残業も少なくありません。
スケジュールの読みやすい仕事ではありますが、膨大な仕事量になるという予測もしやすくなってしまうため、仕事前から大変な一日になるというのが分かるケースもあります。
公認会計士資格を取得するメリットは?

・公認会計士のメリット「高収入、安定感」
公認会計士を取得するメリットは、高収入、安定感、場合によっては大きな仕事ができるといった点です。
まず、公認会計士は取得が難しく信用度も高く、さらに人数もそこまで多くないことから高収入な方が少なくありません。
士業では弁護士に次ぐ平均年収ともいわれており、アルバイトのような臨時職員でも資格を持っていない正社員より高額な報酬を得ているケースも多くあります。
また、毎年どんなにクライアント企業が不景気でも必ず行わなければいけないため景気に左右されない安定感もメリットです。
不景気でも安定して仕事ができるので精神的にも落ち着いて業務に当たれます。
・公認会計士のメリット「大きな仕事ができる」
最後が大きな仕事ができる点で、世界的な監査法人に入れば、日本や世界でも有数の巨大企業の監査を担当できます。
世界経済のトップに対して財務的な指摘やアドバイスができるのは公認会計士ならではといえるでしょう。
ただし、不正会計とみなされると大きなスキャンダルになり、責任も大きいのですが、その分やりがいのある仕事といえます。