中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家として人気の「中小企業診断士」は、企業内でも独立開業でも目指せるという活躍の場が多くあるのが魅力の資格でもあります。
これから、中小企業診断士で独立を目指している人にとっては、中小企業診断士資格を取得するために、試験免除というみちもあるの?と、ちょっと気になりますよね。
現実的には、中小企業診断士試験で合格することが一番の近道であることは間違いありませんが、もう一つ中小企業診断士を取得する方法があります。
ですので今回は、中小企業診断士合格を目指す受験生の方々に向けて、「司法書士の資格取得するための2つの方法」を簡単にお伝えしますので、ぜひチェックしてください。
この記事の目次
中小企業診断士になるには?資格取得する方法

中小企業診断士試験に合格する
中小企業診断士の免許を取得するうえで最も多くの方がとる手段が、「中小企業診断士試験の合格」です。
・中小企業診断士試験について
この試験は毎年7月下旬から8月上旬に行われる第1次試験と10月下旬から11月上旬に行われる第2次試験、そして口述試験によって構成されています。
1次と2次で合格しないと免許が取得できない仕組みとなっていますが、第1次試験で合格した場合は全科目合格で合格年度とその翌年度まで第2次試験を受験できる仕組みになっています。
・中小企業診断士1次試験の合格基準
つまり、第2次試験に落ちても第1次試験なしで次の年は直接受験できるのです。
合格基準は総点数による合格基準、科目ごとによる合格基準があります。
総点数による合格基準は、免除科目以外の全科目で総点数が60%以上でしかも1科目でも40%未満の科目がないことが挙げられます。
一方、科目ごとによる合格基準は満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率となっています。
科目ごとで合格している場合は、合格した科目が免除されて第1次試験を受験できる仕組みです。
・中小企業診断士の試験免除について
このように前年度の成績で第1次試験の科目免除がある点が、他の士業にはない特徴といえるでしょう。
この試験免除に関しては後述しますので、試験についてもう少し説明を進めていきましょう。
2次試験は筆記試験と口述試験が同じ日に行われます。筆記試験は各設問15~200文字程度の記述を行い、後述は10分程度の面接によって合否を決定します。
このように2段階のふるいにかけられて初めて中小企業診断士資格が取得できるのです。
中小企業診断士の第1次試験合格率(科目別)

中小企業診断士の第1次試験の合格率は15~40%ですが、実は近年急速に合格率が上昇しており、かつては15~20%の合格率だったのが、ここ数年は30~40%を推移しています。
次に第1次試験の科目別の合格率を見ていきましょう。第1次試験は次の7科目が実施されます。
- 経済
- 財務と会計
- 経営理論
- 運営管理
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営と政策
まず「経済」の合格率は例年20~30%の間を推移しており、ここ数年は25%程度で安定しています。
次の「財務と会計」はやや不安定で5~35%を移動し、近年は10~15%を推移していて、全体的に低めの教科です。
3つ目の「経営管理」は、15~30%でここ数年は25%以上になっています。
4つ目の「運営管理」は5~25%の合格率で、近年は10%程度です。こちらもやや難しい科目といえるでしょう。
5つ目は「経営法務」で、こちらは5~15%を推移しており、ここ数年は上昇傾向です。
6つ目の「経営情報システム」は5%程度の年もありましたが、ここ数年は30%に迫る合格率を誇ります。
最後の7つ目は、「中小企業経営と政策」は5~30%で、年度によって大幅に数値が変化する科目です。
このように科目ごとに合格率が異なりますが、いずれも近年は10~30%の間に収まっています。
これらの数値から中小企業診断士試験は、士業資格として若干難易度の高い試験といえるでしょう。
中小企業診断士試験で難しい科目(第1次試験)
先ほどの傾向から中小企業診断士試験で難しい科目を挙げるとすると、以下の3つです。
- 経営法務
- 経営理論
- 運営管理
・難問「経営法務」について
「経営法務」は中小企業診断士試験の鬼門ともいえる難関科目で、例年10%前後を推移し、苦戦する受験者も少なくありません。
難関な理由として、範囲の広さ、実務経験者でも既存の知識が通じないといった点が挙げられます。
経営法務は範囲が広く、次の5つの分野から出題されます。
- 事業開始、会社設立及び倒産等の関連
- 知的財産権の関連
- 取引関係に関する法務
- 企業活動に関する法律
- 資本市場へのアクセスと手続
これだけの範囲が出ると予想が難しく、起業から倒産までのありとあらゆる法的知識を学ぶ必要があるのが特徴です。
・難問「経営理論」について
「経営理論」は、経営戦略の策定やマーケティング戦略など中小企業診断士のメインともいえる分野で、マイナーな知識を問われることも多く、応用的な知識も必要とされます。
・難問「運営管理」について
「運営管理」は、製造業の製造管理や品質管理といった生産管理分野と店舗施設や立地、販売、そして流通に至る店舗販売管理分野に分かれていて、これらの業界に身を置いたことのない受験者にとってはイメージがつきにくく点数の取りにくい分野です。
さらに挙げるとすると、「中小企業経営・中小企業政策」も油断できません。なぜなら、こちらは非常に難しい年が度々やってくるからです。
中小企業に対する国の支援施策の詳細を求められる分野なので、新しい知識が求められるというシビアさで、実は経営法務と並んで難しい科目ともいわれています。
このように半数以上が警戒しなければいけない科目です。
中小企業診断士の試験免除について

中小企業診断士試験は、前年の合格者と一定の資格や条件をクリアしている場合は、試験免除になります。
「前年の合格者」は、総合点数が60%以上で40%未満の科目がない場合は、第1次試験の免除、特定の科目が60%以上あるいは試験の運営が判断した水準以上なら、その科目のみ免除といった内容です。
次に「保有資格や条件クリア」で免除になるケースは多岐にわたりますので、ざっと紹介します。
【財務・会計科目が免除】
- 公認会計士、公認会計士試験合格者
- 会計士補、会計士補
- 税理士、税理士試験合格者、税理士試験免除者(税務署の長期勤務者など)
- 弁護士、弁護士となる資格を有する者
【経済学・経済政策の科目が免除】
- 通算3年以上勤務する大学等の経済学の教授及び准教授・旧助教授、経済学博士
- 公認会計士試験、旧公認会計士試験第2次試験において経済学を受験して合格した者
- 不動産鑑定士、不動産鑑定士試験合格者
- 不動産鑑定士補、旧不動産鑑定士試験第2次試験合格者
【経営法務科目が免除】
- 弁護士、司法試験合格者、旧司法試験第2次試験合格者
【経営情報システム科目が免除】
- 技術士(情報工学部門登録者に限る)
- 技術士となる資格を有する者
- 情報処理技術者試験合格者(ITストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者、システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種)
注目すべきなのは、資格や条件を持っていても前年の第1次合格者以外はすべて科目が一部免除になるだけで、司法書士や税理士、行政書士のように条件をクリアしていれば無条件で取得できる資格ではありません。
中小企業診断士の受験資格は高卒・中卒でもOK?

・中小企業診断士の受験は学歴不問
中小企業診断士の受験資格は学歴不問です。
確かに免除される資格は存在するんものの高卒や中卒でも受験し、免許を取得できますが、大学で専門の教育を受け、さらに企業で実務経験のある方でも合格が難しい資格なので、決して容易に合格できる資格ではありません。
それでも中小企業診断士試験は非常に広い門戸を開いており、きちんとした学習をすれば、学生でも合格することは可能性として十分あります。
もし興味があれば、これを読んでいる方もすでに受験する資格は十分あるのです。
中小企業診断士で開業するには?

・中小企業診断士を開業するには?
中小企業診断士の開業をするには、事務所の開設、協会の入会、そして税務署に開業届を提出するといったことを行います。
事務所は基本的に病院などと違って規模などの規定がありませんので、自宅の一角に構えても問題ないのです。
しかし、信用面などを考えると事務所を構えたほうが良いでしょう。
・中小企業診断士は入会が必要
次に中小企業診断士の業界団体である各都道府県の中小企業診断士協会へ入会します。
入会は他の士業のような義務はありませんが、地域で中小企業診断士として活躍したいのであれば必須の手続きといえるでしょう。
最後に開業届を事業の開始から1カ月以内に、税務署の窓口からまたは郵送にて提出します。
この際、確定申告のための青色申告承認申請書も一緒に提出するのがポイントです。
ここまで出来たら、あとは顧客を獲得するようにして活動していきましょう。