生活をする上で困難を抱える人たちの福祉や医療に関する支援や相談援助の専門家として人気の「社会福祉士」ですが、資格取得までとても大変です。
試験勉強は難しいですし、合格するためには勉強時間も確保しなければなりません。
お仕事をしながら勉強をしている人は、仕事以外の時間は、ほぼほぼ全ての時間を試験勉強に注いでいるのではないでしょうか?
苦労の末に取得する社会福祉士資格ですが、実際のところ求人ってどの程度あるのか?わからない部分もあると思いますので、今回は求人状況について徹底解説しました。
この記事の目次
社会福祉士の就職先はどんなところ?
社会福祉士の就職先は、主に次の6か所です。
- 高齢者施設
- 障がい者支援施設
- 児童相談所/児童福祉施設
- 社会福祉協議会/地域包括支援センター
- 医療機関
- 学校/学童
・高齢者施設
「高齢者施設」は高齢者を対象とする介護施設で、社会福祉士の主な就職先であることが多く、「生活相談員」といった肩書で勤務することがほとんどです。
基本的にある程度の規模の高齢者施設では施設基準として社会福祉士の配置が義務付けられているため、活躍の場が多いのが特徴です。
仕事内容としては、入所前の面談や入所、退所の手続き、利用者の家族に対しても相談を受けたり、面談が主な業務になり、周囲との連携を行って、より適切な対応をしています。
また、スタッフの状況によっては介護福祉士の介護補助として直接援助をすることも少なくありません。
・障がい者支援施設
「障がい者支援施設」では、就職後利用者の自立支援や生活支援の援助を中心に行います。
知的障がい者、身体障がい者、そして精神障がい者といった障がい者の人々を対象に活動し、精神障がい者の施設では精神保健福祉士と連携して業務に当たります。
・児童相談所や児童福祉施設
「児童相談所や児童福祉施設」も社会福祉士の就職先であり、児童相談所では児童福祉司として勤務し、問題を抱えている児童やその家族の相談支援を中心に家庭訪問や家庭環境の調査なども行います。
加えて児童の担任教師や地元の教育委員会との連携を行ったりもします。
このほか、児童指導員として児童養護施設や放課後デイサービスセンターなどの児童福祉施設でも勤務することも少なくありません。
・社会福祉協議会や地域包括支援センター
「社会福祉協議会や地域包括支援センター」に就職する社会福祉士もいます。
ここでは高齢者や障がい者の他、貧困家庭や外国人、さらには路上生活者といった人々を対象に問題解決や生活上の相談を受けます。
相談援助だけでなく見守りや安否確認、生活上の問題点を発見といった業務に加えて、直接サービスや専門機関と連携を取って問題解決を図るのが主な仕事です。
・医療機関
「医療機関」へ就職する社会福祉士もおり、ここでは医療ソーシャルワーカーとして活躍し、患者さんやそのご家族の問題に対して相談支援を行います。
医療費の免除などの支援制度や入院治療に関する不安や悩みを解決するサービスの紹介を行っているのが特徴で、入院施設のある病院だけでなく、保健所、診療所といった機関に勤務して同様の業務に当たるケースも見られます。
・学校や学童
最近では「学校や学童」に就職する社会福祉士も少なくなく、学校などに勤務して児童本人だけでなく、その家族の問題に対しても相談支援をします。
教員や他の学校職員と連携して問題解決に臨む業務です。
このように多様な就職先を持っているのが社会福祉士の就職先です。
社会福祉士の求人ない?
・社会福祉士の求人数は意外と多くない?
就職先が多様な状態なのに対し、社会福祉士の求人数は意外と多くありません。
その理由として各就職先にたくさんの社会福祉士を必要としないといった点が挙げられます。
例えば、同じ福祉士の介護福祉士であれば医療機関や介護施設で非常に多くの人手が必要です。
そのため、就職できる分野は医療機関や介護施設のように限定される反面、一つの施設で求められる人材が多いのが特徴になっています。
これが社会福祉士の求人が少ない原因です。
・社会福祉士の求人が少ない原因
介護福祉士であれば5つの施設から3人ずつ、合計で15人の求人があります。
一方で社会福祉士は1つの施設に1人入ればいいという場合も多いので4つの施設から1人ずつ、合計で4人の求人しかないといった状態にもなるのです。
このように求人がある施設数はあるものの1か所の求人が非常に少なく、その施設に就職した社会福祉士がいれば、その社会福祉士が退職して欠員がでないかぎり求人することはありません。
・社会福祉士のニーズは拡大傾向
このように社会福祉士の求人は少ないのが現状ですが、社会福祉士のニーズは近年急激に拡大しています。
例えば、高齢化社会や学校でのニーズを中心に社会福祉士の存在は徐々に増えています。
また、格差拡大や外国人の就業者の増加など社会問題はどんどん増えていますので、基本的にはそこまで求人数がない社会福祉士ですが、徐々にその和は増えており、決して求人がないとは言い切れません。
社会福祉士、東京の求人状況は?
社会福祉士の求人の目安として東京が一つの基準になっています。
多様な分野からのニーズがあり、求人数も全国で最も多い、東京の求人件数や給料、勤務条件などを紹介しましょう。
・東京の社会福祉士の求人:件数
まず、求人件数は5万件を超えていて、パート・アルバイト・正社員といったすべての勤務形態を含めての数字ですが、かなり求人数が多いといえるでしょう。
勤務先も学校や公務員はありませんでしたが、それ以外の勤務先は一通り確認できました。
・東京の社会福祉士の求人:給料
給料は施設によって異なりますが、月給換算で20~30万円で、これは年収換算で300~400万円ですが、これは初任給なので、決して高い金額ではありませんが昇給を考慮すると待遇は良いかもしれません。
・東京の社会福祉士の求人:勤務時間
勤務条件はフルタイムが多い傾向で、社会福祉士の相談業務を中心に、他の仕事を行うことがない専業の求人がほとんどになっています。
このように社会福祉士は東京の求人に関して、比較的好条件のものが多くあり、求人数自体も多い傾向が見られました。
社会福祉士、大阪の求人状況は?
西日本最大の都市、大阪府での社会福祉士の求人はどうなのでしょうか?
東京と同様に求人件数や給料、勤務条件などを紹介します。
・大阪の社会福祉士の求人:件数
求人件数は4万件程度あり、これは人口比で考えると、東京よりも多いと解釈しても良いかもしれません。
勤務先は主に病院や医療機関、介護施設が多く、大阪市以外の郊外の市の求人も豊富なので自宅からの通勤のしやすさで選べる傾向です。
ただし、勤務先の分野が医療介護に集中している印象です。
・大阪の社会福祉士の求人:給料
給料は、17~30万円、年収では250~350万円と若干東京よりも安めになっていますが、物価の高さなどを考えると、東京よりも少額になってしまう傾向があるのですが、全国的に見ると平均よりやや高めの待遇です。
・大阪の社会福祉士の求人:業務内容
仕事内容は「相談業務」が主な業務で、正社員の募集がほとんどで、勤務条件としては東京同様に兼務ではなく専念するものが多く見られます。
社会福祉士の公務員採用はある?
社会福祉士の公務員採用はあります。
それは、次の3つの職場に就職を希望する場合です。
- 児童相談所/児童福祉施設
- 社会福祉協議会/地域包括支援センター
- 学校/学童
これらの勤務をするには必要に応じて公務員試験を受験したり、採用試験をクリアしたりする必要がありますが、中途採用やこれら以外の公立病院の勤務の場合は、一般的な施設のような採用方式をとるケースも見られます。
社会福祉士のスキルアップに役立つ資格
社会福祉士のスキルアップに役立つ資格として、精神保健福祉士、保育士、そして意外なところではファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士があります。
「精神保健福祉士」の資格を取ることで、精神障がい者の相談や問題解決能力が得られ、幅広い守備範囲で相談による間接援助が可能となります。
「保育士」の資格も便利で、児童福祉施設や児童相談所で保護されている子どもの対応がより適切にできるようになるでしょう。
「ファイナンシャルプランナー(FP)」は高齢者の資産の相談や年金制度の案内などのアドバイスができるため、相性の良い資格です。
最後の「宅地建物取引士」は高齢者や障がい者の不動産管理に対応できるようになるため資産の分野で直接援助が可能になります。
また、これらの資格は社会福祉士の問題にも出題される等資格試験の親和性が高く、社会福祉士の勉強がいかせる資格です。