難関資格である社会福祉士試験を合格するのは、簡単ではありません。
日々の仕事は忙しく、なかなか試験勉強する時間を確保するのも難しいと思いますし、勉強に専念されている方でも、知識を詰め込みすぎて、「これ以上脳に記憶できない、、、」という状態に毎日なっていることと思います。
ですので、いかに効率的に時間を上手く使って勉強するかが重要になります。
今回は、難関試験合格のために、まずは社会福祉士試験科目というものを知り、しっかりと対策を立てて、勉強を効率的に進められるよう、徹底解説しましたので、ぜひチェックしてみてください。
この記事の目次
社会福祉士の試験科目を徹底解説!
今回は、社会福祉士試験の合格を目指している初学者の方に向けて「社会福祉士の試験科目」について解説します。
社会福祉士国家試験の合格点や合格基準
・合格基準は「正答率60%」が基本
社会福祉士国家試験の合格点は各科目150点中90点程度、合格基準は正答率60%が基本になります。
「基本になる」というのは、あくまでこの点数が目安であり、試験問題の難しさや平均点などを加味して、毎年若干点数に補正がかかるため、社会福祉士国家試験の合格基準は、「総得点の60%程度とし、問題の難易度によって補正される」とされています。
参考として、第33回(2021年度)の社会福祉士国家試験合格点は、「総得点150点に対し、得点93点以上の者」です。
・もう一つの試験合格基準
そして、これらの合格点や合格基準に加えて”もう一つ試験の基準”が設けられていて、「18科目群」すべてで最低1問は正解すること」という条件で、この18科目群とは、社会福祉士に求められる18の分野(19科目)をいい、18科目群になっているものの、社会福祉士の就労支援サービスと更生保護制度は一つの群になりつつ、2科目で構成されていることから19科目に数えられます。
つまり、18科目群すべてで最低1問は正解することというのが、実は19科目すべてで1問以上正答することが求められているということなのです。
・各科目で最大25%のボーダーが設定されている
ちなみに問題数や出題範囲の詳細は後述しますが、各科目4~21問あるため、各科目で最大25%のボーダーが設定されていることを意味します。
多くの資格試験では総得点のみを合格基準にしますが、弁護士や司法書士、公認会計士の試験のように科目のボーダーが設定されている点に社会福祉士国家試験の特徴があります。
以上のことから、社会福祉士国家試験の合格をするには各科目で25%以上のボーダーをクリアしつつ、総合計150点中90点以上の獲得を目指すことが必要です。
社会福祉士試験の出題範囲と出題数
・社会福祉士試験の出題範囲
次に、社会福祉士試験の出題範囲と出題数を紹介しましょう。
まず、出題範囲は先ほど紹介した18科目群、全19科目と、とても範囲が広いものの、先ほど触れた通り最低1問正答しなければいけません。
また、出題範囲は共通科目と専門科目に分かれており、共通科目は同じ福祉国家資格の1つである「精神保健福祉士」と共通の試験内容、専門科目は社会福祉士独自の科目になります。
分けてある理由として、精神保健福祉士資格を保持している場合は共通科目は免除されるからです。
出題数は全150問で240分の間に解答していく必要があり、一問あたり1分強なので、時間との戦いです。
・社会福祉士試験の出題範囲と問題数
次に出題範囲と問題数の詳細を一覧で示します。
【共通科目(出題数)11科目】
- 1:人体の構造と機能及び疾病(7問):医学的知識や国際生活機能分類(ICF)を中心に出題
- 2:心理学理論と心理的支援(7問):うつやアルコール依存、心理学などの分野の出題
- 3:社会理論と社会システム(7問):社会論の歴史を酔われる問題で福祉システムについても出題
- 4:現代社会と福祉(10問):現在の福祉の状況を問われる問題
- 5:地域福祉の理論と方法(10問):地域における福祉サービスに関する問題
- 6:福祉行財政と福祉計画(7問):福祉の財政についての問題や税金の補助、自己負担に関する分野の出題
- 7:社会保障(7問):社会保険の歴史や実例を通して社会保障の知識から出題
- 8:障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問):障がい者の福祉サービスに関連する知識から出題
- 9:低所得者に対する支援と生活保護制度(7問):生活保護などの低所得者の福祉知識から出題
- 10:保健医療サービス(7問):医療保険の現状や、地域での保健活動のほか、医療サービスにアクセスする方法といった分野からも出題
- 11:権利擁護と成年後見制度(7問):人権および財産、成年後見人制度から出題
【専門科目(出題数)8科目】
- 12:社会調査の基礎(7問):社会に関するデータの集計方法や基礎知識
- 13:相談援助の基盤と専門職(7問):相談援助の技術やその歴史から出題
- 14:相談援助の理論と方法(21問):社会福祉士の根幹となる分野、具体的な事例を提示し、最適な援助を問う
- 15:福祉サービスの組織と経営(7問):福祉関連の団体や機能に関連した問題
- 16:高齢者に対する支援と介護保険制度(10問):日本社会の現状や高齢者の保険制度から出題
- 17:児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(7問):児童相談所などの児童に関する福祉サービスに関係する児童福祉法や児童虐待の分野から出題
- 18:就労支援サービス(4問)/19・更生保護制度(4問):就労支援サービスは障がい者雇用と労働法、更正保護制度は保護観察に関する分野から出題
とても広範な分野や出題範囲なのでまんべんなくカバーしておく必要があります。
社会福祉士試験の出題形式
社会福祉士試験の出題形式は「五肢択一」、つまり5択で解答することが基本で、設問に対して5つの選択肢が用意されており、それらの中から1つ選びます。
ただ、これは基本であり、5つの中から2つ選ぶものも増えていますので、混同しないように注意して解答するようにしましょう。
ただ、他の資格に関係する記述式の問題はほとんどないため、しっかり知識が備わっていれば文書作成能力を求められるといったことなく解答を進められます。
社会福祉士の試験出題傾向はある?
社会福祉士試験の傾向は存在し、出題形式の変化や出題内容、思考力といったものが挙げられます。
出題形式の変化としては、以前の社会福祉士の場合、択一問題が多く見られましたが、現在は2択の問題が増加しており、確実な知識がないと実質10パターンの問題の中から解答を得ることができません。
出題内容は、過去の問題や入れ替え問題が度々見られますので、過去問をやりこんでおくことでこれらの問題を解答できるようになります。
最後の思考力は、単に知識だけでは解答できない問題が出題されていて、シンプルに自分の社会福祉士観と知識を組み合わせて解答する問題のほか、非常に細かな知識が問われるものの、消去法で考えれば解答できるといった問題が出るようになりました。
社会福祉士の試験資格は?
社会福祉士の試験資格は学歴、職歴などを含めると11条件のいずれかをクリアしている必要があります。
ざっと紹介すると12パターンになります。
- 【1号】:社会福祉士関連の科目を受けた福祉系4年制大学卒業
- 【2号】:基礎科目のみを受けた福祉系4年制大学卒業後6か月の短期養成施設を受講
- 【3号】:一般大学4年卒業後1年以上の一般養成施設を受講
- 【4号】:福祉系3年制短大で社会福祉士関連の科目を受けて卒業後、実務1年
- 【5号】:福祉系3年制短大で基礎科目のみ受けて卒業後、実務1年と6か月の短期養成施設を受講
- 【6号】:一般3年制短大卒業後、実務1年と一般養成施設で1年以上の受講
- 【7号】:福祉系2年制短大で社会福祉士の科目を受けて卒業後実務2年
- 【8号】:福祉系2年制短大で基礎科目のみ受けて卒業後、実務2年と6ヶ月以上の短期養成施設の受講
- 【9号】:社会福祉主事養成機関を卒業後、実務2年と6か以上の短期養成施設の受講
- 【10号】:一般2年制短大卒業後、実務2年と1年以上の一般養成施設の受講
- 【11号】:学歴不問で4年の実務と1年以上の一般養成施設受講
- 【12号】:児童福祉司、身体障害者福祉司、老人福祉指導主事の実務4年
これらのいずれかをクリアすれば受験でき、最もシンプルな受験資格は社会福祉士関連の学科を受けた4年制大学を卒業することです。
社会福祉士試験が難しい、受からないと言われる理由は?
社会福祉士の合格率は毎年27%程度で、一般的に難関資格の一つとして数えられることが少なくありません。
その理由として、科目数が多すぎる、合格基準がクリアしにくい、勉強時間を取りにくい方が多く受験しているといった点が挙げられます。
・科目数が多すぎる
まず、科目が19科目もあり、これらを横断的に理解するだけでも大変ですが、さらにそこから応用的な問題も多数出題されるので、範囲が広いうえに難度が高い問題が出るのが難しい理由といえます。
・合格基準がクリアしにくい
次に合格基準が厳しい点も挙げられ、得点が全体の60%程度獲得であれば、そこまで問題になりませんが、ボーダーが各科目で設定されているので、そこでつまづいて不合格というケースも多いのです。
・勉強時間を取りにくい
最後に勉強時間を取りにくい受験生が多い事が挙げられ、基本的に社会福祉士関連の4年制大学を卒業した方以外は、仕事をしながら受験することになりますので、勉強時間が確保できず合格に至らないのです。
これらの理由が、社会福祉士資格は受からない資格として知られています。