不動産に関する重要事項の説明など独占業務を行う専門家として人気の宅地建物取引士(宅建士)は「不動産取引」のスペシャリストというのは知られていると思いますが、具体的に「どんな仕事するんだろう?」とよくイメージが湧いてない方もたくさんいらっしゃいます。
ですので今回は、宅地建物取引士試験合格を目指す受験生の方々に向けて、「宅建士の仕事とはどんなものか?」ということを簡単にお伝えします。
宅地建物取引士(宅建士)って、どんな資格?

宅建士って、どんな資格?
宅建士とは、正式名称を「宅地建物取引士」と言い、その名の通り不動産取引において必要な知識を証明する国家資格です。
毎年20万人が受験している、大変人気の資格と言える一方、合格者は受験者の20%にも満たないという難易度の高い資格でもあります。
この「宅地建物取引士」では、不動産の売買時に顧客に説明すべきこと、宅地建物の売買の契約にまつわる法律などを学びますが、間違いがあれば大きな損害を出してしまう資格ですから、厳しい選別が行われるのでしょう。
水道やガス等のライフラインの供給状況をどのように顧客に伝えるか、都市計画区域の種類による建築の制限、契約解除時の損害賠償請求がどのようにされるかなど、内容は多岐にわたり、およそ不動産の取引についてを知り尽くしたスペシャリストとなれる資格です。
宅地建物取引士(宅建士)資格取得のメリット

・宅建士を取得で、どんなメリットがあるの?
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産の売買が行われる際、従業員5人につき1人の宅建士取得者が必要であると法律で義務付けられています。
そして不動産についての重要な説明は、宅建士の資格を持つもの以外行ってはならないとされています。不動産の売買には必ず必要とされる資格なのです。
資格の取得が難しいということもあり、不動産業界、建設業界、不動産を扱う金融業界などで必要とされている国家資格です。
中には宅建士の資格を持つことが必須条件とされている職もあり、資格手当がつくことも珍しくありません。無関係に思える分野でも、貴重な資格として歓迎されることがあります。
従業員として働くだけでなく、宅建士としての資格を用いた業務で独立開業することも目指せるでしょう。一度取得すれば失われることはなく、就職に大変有利な資格です。
宅地建物取引士(宅建士)の仕事内容とは?

・宅建士はどんな仕事するの?
宅地建物取引士(宅建士)の仕事は、顧客へ不動産に関する重要事項の説明が主になります。
登記名義をどうするのか、都市計画区域の種別から建ぺい率にどのような制限があるのか、地区のライフラインの整備状況などをきちんと理解してもらい、説明文書に捺印してもらわなければなりません。
土地建物の売買は大変高額になることが多いので、将来の損害を未然に防ぐため、おろそかにできない重要な仕事です。
顧客と直接会話をするわけですから、コミュニケーション能力、法律などのややこしい話をわかりやすく説明する能力が重要となります。
資格を有している時点で知識は保証されていますので、宅建士の評価はコミュニケーション能力によるところが大きいです。
また、すべての法律を暗記するのは難しく、改正されることもありますので、常に状況を調査、把握しておかなければなりません。
宅地建物取引士(宅建士)を取得しても仕事ないの?

・不動産取引の仕事
宅地建物取引士(宅建士)の就職先はとても幅広く、多種多様な仕事があります。
土地建物の売買だけと思われがちですが、建物や不動産関係の契約は多くの仕事に関わってきますし、必ず売買の場に必要と法律で定められていることから、宅建士の需要が失われることはないでしょう。
・不動産業界以外の仕事
実際の宅建士の就職先は、35%ほどが不動産業界で、半分以上は他の業界に就職しているのです。
不動産業界以外で多いのは金融業で、こちらは主にローンを開始する時に、不動産を担保にする場合や、担保を売却する時などに必要です。
最近では、自宅を担保にした融資制度「リバースモーゲージ」という、不動産を担保に、年金のような形で融資をし、死後に不動産を売却するというローンが人気です。
このような不動産の絡むローンには宅建士が必要不可欠ですから、これからも必要とされるでしょう。
宅地建物取引士(宅建士)の仕事がきついと言われる理由

・土日の仕事も多いのが宅建士
宅地建物取引士(宅建士)の仕事は多くの需要があり、高給が狙えますが、それだけに大変忙しいものです。
宅建士は重要事項の説明の場に必ずいなければなりませんと、法律で義務付けられていますので、休みたいから他の人に任せる、などということができないのです。
一般の顧客への売買は土日や祝日に行われることが多いため、家族の休日に合わせて休みを取る、などということも難しくなります。
・クレーム対応などの重要職務も
また、宅建士は顧客への重要事項の説明を行うことから、クレームの対応も担う場合があります。
高額な商品ですから、顧客の側もこだわりが強くなり、慎重で間違いのないクレーム対応が求められ、精神的な疲労を感じてしまうようです。
そもそも不動産業界自体が激務で、入れ替わりの激しい業界ですが、その中でも他に変えられない技能を持つことで、通常の業務の他に資格保持者としての業務が発生してしまうようです。
宅地建物取引士(宅建士)は女性にこそオススメの仕事

・気配り丁寧な対応ができる女性は引くて数多
顧客とコミュニケーションし、説明を行うのが宅地建物取引士(宅建士)ですから、細かい点に気配りし丁寧な対応のできる女性は喜ばれます。
宅建士としての知識はもちろん必要ですが、その上で、誰にでもわかりやすい説明、相手の理解度を察して対応を変える、などのことは比較的女性の方が向いているのでしょう。
どのような業界でも顧客対応の場では、担当者は女性である場合が多いものです。
・アルバイトやパートタイマーのような働き方も可能
宅地建物取引士(宅建士)は需要の高い職業で、法律で定められている必ず必要なものですから、アルバイトやパートタイマーのような働き方もできます。
それでいて資格手当などで、他の労働よりも高い時給を得ることができるでしょう。
パートならば結婚後の環境の変化への対応や、妊娠出産時の休業や復帰も比較的容易ですから、仕事も人生のイベントも諦めたくないという方におすすめの仕事です。
この記事の監修者

2004年(平成16年)12月に宅地建物取引士試験一発合格。
二人目の子供を妊娠中の出産予定日三ヶ月前に、ふと「宅建士試験を受験してみよう!」と思い立ち、独学で勉強を開始。
現在は、東京都内にある不動産会社に勤務。ヨットが大好きなトランペッターの宅地建物取引士です。