行政書士は官公署等へ提出する書類作成、許認可申請などを行う「許認可のスペシャリスト」です。
就職や転職に有利になるだけでなく、独立開業も目指せるというのが、行政書士資格の魅力でもあります。
これから、行政書士で独立を目指している人にとっては、行政書士資格を取得するには、どうしたらいいのか?気になりますよね。
あなたが今回の記事の条件に当てはまれば、国家試験の合格よりも早く行政書士になれる可能性もありますので、より早く確実に行政書士資格を手に入れたいという方は、ぜひチェックしてください。
この記事の目次
行政書士資格を取得するための3つの方法とは?
この記事では、行政書士試験の合格だけではない、「行政書士資格を取得するための3つの方法とは?」ということで、国家試験の合格だけではない道もご紹介していきます。
行政書士になるには?
行政書士になるには、以下のいずれかに当てはまる必要があります。
- 行政書士試験に合格する
- 国や地方公務員として行政業務を20年以上担当する
- 指定されている資格を有する
これは、いずれかに当てはまっていれば良いので、例えば公務員(行政の仕事)20年以上(高校・大学等を卒業した者は17年以上)でも大丈夫です。
何も資格や行政業務経験がない状態であれば「行政書士試験に合格する」というのが行政書士になるには最もシンプルな方法で、試験合格後、各都道府県経由で登録を受ける必要があります。
ちなみに、行政書士登録している方の半数以上が試験合格経由だと言われております。
年に1回行われる行政書士試験の合格率は、10~15%程度で推移しており、比較的難しい国家資格だと言えます。
得点が300満点中180点以上であれば合格ですので、60%以上の得点が取れれば合格することが出来ます。
この点は、宅地建物取引士などとの違いで、とにかく180点以上取れば良いという意味ではシンプルな試験ですが、注意点とて、科目ごとに一定の得点を取る必要がある点です。(足切りがあるため)
なお、「指定されている資格を有する」とは弁護士、弁理士、公認会計士、税理士のことです。
では、説明していきましょう。
【方法①】:行政書士試験に合格する
行政書士試験に合格する
行政書士試験に合格して行政書士資格を得るという方法は、行政書士で最も有名な方法です。
実際に行政書士登録をしている「80%以上」の方が行政書士試験に合格して行政書士になっていました。
行政書士試験は、国に委託された期間である、一般財団法人 行政書士試験研究センターが行う国家試験です。
その合格率は10~15%とほとんどの受験者が不合格になる難関の資格ですが、行政書士の講座などで効率よく学ぶことによって一発で合格するケースも少なくありません。
行政書士試験が開催されるのは、いつ?どこで?
実施されるのは、毎年11月の第2週の日曜日で各都道府県にて実施されます。
ただし、事前に受験申し込みをしておく必要があり、年7月下旬~8月下旬までの約1か月間の間に申し込みをします。
北海道などの広い面積を持つ都道府県や東京、大阪など人口の多い都道府県は、複数の場所で実施されます。
会場は主に大学や公共の研修施設、ユニークな都道府県ではホテルなどで実施されるケースも見られます。
基本的に駅から徒歩圏内の場所で行われますが、車がないと受験できない場所もあるので、事前にチェックしておきましょう。
ちなみに合格発表は1月なので、その間合否が気になる方もいます。
いずれにしても「行政書士試験に合格する」というのは、行政書士の免許を取得するのに最もメジャーな取得方法です。
【方法②】:公務員として行政事務を一定年数経験する
特認制度で行政書士になるには?
行政書士は、行政と国民のパイプ役ですので、行政に長年携わってきた方は、無試験で行政書士になれます。
これは、特認制度と呼ばれるもので、行政書士の制度ができたころから存在しています。
根拠は、行政書士法第2条に「特認制度」に定められており、こちらも行政書士になるためのルートとして認められている制度です。この特任制度は、後述する「該当の他資格」を持っているケースでも適用されます。
公務員が行政書士なれる条件に該当するのは2パターンあります。
公務員経験者は経験年数で行政書士になれる
行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員か国又は地方公共団体の公務員です。
つまり、公務員経験者とそれに限りなく近い組織の職員(国立公文書館や国公立大学の職員など)が該当しますが、その経験年数は長く、高卒以上で17年、中卒で20年以上の実務経験が求められます。
経験年数が満たなくても「特任制度」という道も
ちなみにその条件に満たなくとも、ごくまれに特任制度によって登録されるケースもゼロではなく、この特任制度では、全体の10%強が毎年行政書士になっています。
ただし、公務員が行政書士になって、公務員をしつつ行政書士として活動するのは禁止されているため、ほとんどのケースでは、公務員を定年退職した後に登録するケースがほとんどです。
大卒で早期退職して行政書士になる道も
他にも大卒で40歳前後に取得できるので、働き方を変えたい場合に退職して取得するといったパターンも見られます。
取得方法は、仕事をしたいと思っている都道府県の行政書士会に「公務員職歴証明書」等の書類を提出して承認してもらうだけです。
ただし、従事してきた職務内容についての審査を受けなければいけません。
例えば公務員といっても事務系ではなく、書類作成の経験が乏しく、ひたすら公共事業の現場に立っていた人は行政書士に必要なスキルがあると認められず審査に落ちる可能性があります。
このように公務員経験者だからといって100%承認されるわけではない点に注意しましょう。
【方法③】:該当の他資格(ライセンス)を持っている
特任制度で行政書士になれる資格
先ほど触れた特任制度は、該当の他資格を持っている場合も適用されます。
その他資格とは、以下の4つの資格です。
- 弁護士
- 税理士
- 公認会計士
- 弁理士
これらの資格は、法律だけでなく行政システムなども熟知している専門家といえますので、行政書士会に申請するだけで審査をほぼ確実に承認され、行政書士としても活動できる資格です。
ただ、難関国家資格ばかり
ただし、行政書士の資格取得以上に難易度の高いものばかりなのと、業務範囲も行政書士より広いものが多いので、この方法による取得は現実的ではありません。
実際に、取得してもこれらの資格でできてしまうことも多いので、登録者数としては、ほとんどいないのが現実です。
注意点として、司法書士の資格取得者は該当しません。
こちらも業務範囲が広いのですが、行政書士の業務は行えないだけでなく、取得していても特任制度では該当しないのが現状です。
そのため、司法書士の方は新たに行政書士の試験を受けて合格する必要があります。ただ、司法書士の業務自体も多忙なことが多く、行政書士の仕事を兼務することは実質困難なことがほとんどです。
行政書士の受験資格は?
行政書士は誰にでも取得できる国家資格なのでしょうか?年齢制限や学歴などの受験資格があるのか調べてみました。
行政書士の受験資格は?年齢制限・高卒中卒でも大丈夫?
行政書士の受験資格は学歴に関係ない
行政書士の受験資格は学歴に関係ないため、高卒や中卒でも問題なく受験できます。
一般財団法人 行政書士試験研究センターのサイトで確認可能ですが、年齢、学歴、国籍等に関係なく、だれでも受験が可能な試験になります。
実際に2020年度に実施された行政書士の資格試験では、15歳の方が合格しているので、学歴は関係ありません。2021年度の試験においては中学二年生(14歳)が合格しています。
このように年齢制限は全くないので、その意味では何も心配がない試験と言えるのではないでしょうか。
行政書士の欠格事由
ただ、行政書士の欠格事由というものがありまして、行政書士となる資格がある方(ここでは試験合格者)においても未成年者は登録は出来ません。
この点は多少の注意が必要かもしれません。
なお、この部分は未成年以外でも「成年被後見人又は被保佐人」「破産者で復権を得ないもの」「禁固以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者」などがあります。
この他にも懲戒免職から3年経過していないものや行政書士の登録の取り消し処分や業務の禁止の処分をされていて3年経っていない者があります。
行政書士の受験資格に年齢も関係ない
いずれにしても、試験を受けるという意味では年齢制限もないため中卒でも何も問題ありませんし、先ほど触れた公務員の特任制度でも中卒の公務員が20年以上業務についていれば、行政書士になれます。
行政書士の試験は、受験の際に年齢制限がありませんから5歳の子が受験して合格しても、理論上は行政書士になれます。
このようなことから、学歴がないから行政書士にはなれないとあきらめている方も、問題なく受験できるので挑戦してみましょう。
また、定年後やシルバーが挑戦という意味を込めて行政書士の資格を取得をすることがあります。
先ほど触れた通り年齢制限はないため、上限もありませんので、100歳でも行政書士試験に受験して合格、行政書士になることは可能です。
2020年には75歳の後期高齢者の方が試験に合格して行政書士になりました。
行政書士開業は未経験でもできる?
行政書士開業は未経験でもできる
仕事を問題なくできるのであれば、全く問題ありません。
例えば、合格して所定の手続きを踏めば、自宅や事務所などで行政書士事務所を解説することが可能です。
ただ、現実的には実務経験がないと解決できない案件も多く、信用や人脈もないので、実質困難となるケースも多くあります。
知識や実務経験がないと仕事は進められない
それでも関連の書籍で学んだり、行政書士会や士業の先生方が開催する研修で学んだりしています。
また、研修会では交流の場として様々なことが学べるので、そういったメリットもあるでしょう。
加えて、行政書士の実務を学べる講座も各資格試験のスクールで実施しています。
こういったところで学びつつ未経験で開業、運営をしているケースも見られます。
難しいことに変わりはありませんが、不可能ではないというのが未経験者の行政書士開業です。
行政書士で開業するには登録が必要
行政書士を開業するには「行政書士会」への登録費用が必要
行政書士試験に合格しても、開業や行政書士の資格取得者として認められるには登録が必要です。
まず、資格取得者として認められるには日本行政書士会連合会が保管している行政書士名簿に登録する必要があります。
その上で行政書士として認められる仕組みです。
そして事務所開設を行う場合は、各都道府県の行政書士会に入会して登録する必要があります。
関係の書類を提出し、承認を得ることで行政書士事務所が開設できるようになります。
入会費用はどのくらいかかるのか?
注意点としては、入会の際に費用が発生することで、例えば東京都の場合では30万円程度、毎月会費として6,000円を支払わなければいけません。
そうでない場合は各行政書士会の規則によって活動の停止などの措置が取られてしまいます。
このように登録するだけでなく、ある程度まとまったお金が必要にもなるので注意しましょう。
行政書士は兼業や副業禁止なの?
行政書士の兼業や副業は可能?
行政書士の兼業や副業は可能です。
副業として行うことは問題ありませんが、紛らわしい部分があって間違いやすい点としては、行政書士として一般企業に雇われることは禁止されているところです。
つまり「企業内行政書士」は兼業や副業が出来ないというわけです。
行政書士会が禁止しているので守らなければなりませんので、その意味での兼業副業は出来ないということにはなります。(※企業内行政書士的な形での副業や兼業です)
まず、この点を前提に考える必要があるということです。
行政書士との兼業は?
その上で、単純な副業や兼業はとくに問題なく可能です。実際に行政書士を副業にしている方は多くおります。つまりそれは「兼業」です。
例えば、昼間は行政書士で夜間は本業の仕事といった形などが考えられます。
注意点としてはあくまでも副業禁止ではない会社ということも確認が必要で、会社自体が副業禁止にしている場合は、別の意味で副業や兼業は出来なくなる可能性が高いからです。
なお、行政書士を副業にするのは可能とは言え、問題点としてはかなり大変だということが挙げられます。
商売として行政書士を極めていく場合は、やはりそれ相応の時間が必要ですし知識と経験を積む必要があります。
ある程度の年数は、集中して行政書士の業務に取り組む必要があり、その上で副業(または本業)を行うのは、とてもハードです。
ただ、それをクリア出来るのであれば、収入を増やすという意味でも色々なことにチャレンジするのもありだとも思います。