
簿記1級があれば食いっぱぐれない?簿記1級のメリットデメリット
日本商工会議所のwebサイトでは、簿記1級のレベルを以下のように定義されています。
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。
引用:日本商工会議所
非常に難易度が高い資格である「日商簿記1級」は、以下のようなメリットやデメリットがあります。
簿記1級のメリット・デメリット
メリット
就職や転職で有利!年収UPへの近道
簿記1級を持っていると就職や転職で有利になるというのは、資格を持っていることで簿記・会計等の造詣が深い証明にもなるためです。
転職となると、大手企業であれば求人条件が「簿記1級保有者」となっていることもありますし、その中でも「税務会計業務、相続・事業承継業務、経営支援業務」等、経理や財務業務などの募集が数多くありますが、条件として「上場企業での経理業務経験5年以上」や「連結決算・開示業務経験」等が必須条件となっている場合もあります。
転職条件を緩めれば、税理士補助、記帳入力、確定申告書、補助金申請書の作成等の業務など、どんなジャンルの企業でも会計や経理などの職務があるため、仕事の幅も広く、さまざまな業務での活躍が期待されます。
現在の会社で年収を高めるのに最も重要なものが「業務実績」だとすると、年収を100万円上げるのに何年かかるのか?というくらい時間がかかってしまいますが、日商簿記1級を取得することによって、短期間での年収アップも期待できます。
誰でも受験可能
日商簿記1級は、受験資格がないため「学歴・年齢・性別・国籍」による制限はなく、誰でも受験しようと思えば試験を受けることができますが、合格率10%と難易度が非常に高く、初学者であれば受験勉強2000時間ほど必要とされる難関の公的資格です。
最年少合格者は、2021年に中学3年生が合格したという記録が残っているますが、この方は小4時に「数学検定2級」、小5で「簿記2級」に合格し、中学3年で「簿記1級」に合格しています。
デメリット
試験難易度が高い
簿記1級は合格率10%の非常に難関な試験です。ただ、誰でも受験可能となっているため合格率が低くなるという理由もありますが、簿記1級ともなると2級とは出題される範囲が広くなり、各段に難易度も上がっています。
しっかり勉強すれば誰でも受かるというレベルの試験ではなく、簿記1級試験を一発合格できる人は少なく、複数回受験するのが当たり前の世界です。2~5回受験して合格するか、複数回受験したものの心が折れて簿記1級合格を諦めてしまう人が大半です。
また、難易度が高いわりに「この資格があれば食いっぱぐれない」ほどではないため、仕事に直結しないこともあります。
簿記1級って取る意味ない?日商簿記1級が役立つのはこんな人
日商簿記1級資格は、こういった人であれば役立ちやすいです。
簿記1級の資格が役に立つ人・立たない人
簿記1級が役立つ人1:年齢が若くて大手企業への入社を希望している
「簿記1級は大手企業へのパスポート」とも言われていますので、大学生の内に資格取得できれば、入社試験の際に企業に対し大きなアピールとなりますし、履歴書に書ける資格が増えるので書類審査をパスしやすくもなります。
社会人の転職であれば経験や実務能力を優先させることも多いですが、学生であれば話は別で、すでに高い知識を持ち合わせていることが証明できる資格ですので、就職で有利になりやすいです。
簿記1級が役立つ人2:会計や経理の仕事に就きたい
現在、簿記とは全く関係ない業務をしていても、簿記1級の資格を取得すると大きな武器となりますので就職や転職でも有利になります。
企業として雇う側の面接官は、履歴書・職務経歴書・面接を通して、受験者のスキルや適性などで合否の判定をしますが、長く勤めてくれ戦力となり続けてくれるかも重要な判断要素となります。
簿記1級は試験難易度が非常に高いため、その簿記1級に合格しているということは長期的に目標に向かって努力できる人間だという証であり、本気だという気持ちを伝えることができます。
簿記1級が役立つ人3:会計や経理等の業務でのスキルアップを図りたい
日商簿記1級は、『極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。』
引用:日本商工会議所
実際に経理の仕事に就いていると、簿記1級を取得することでより難しい仕事を任されるようになることもありますし、日商簿記1級は、こういった高度な会計や経理、簿記等の幅広い知識を専門家レベルの深さまで身に着けることができ、知識や実務の面でよりスキルアップを目指すことができます。
日商簿記検定1級の資格を活かせる仕事とは?

簿記1級の資格を活かせる仕事には、あくまで一例ですが、代表的なものとして以下のような業種があります。
- 大手企業の経理財務部門
- 会計事務所や税理士事務所
- 税務会計コンサルティング企業
- 事務職全般
簿記とは、企業の営業取引や経営活動を帳簿に記録する技術のことであり、簿記1級は極めて高度な資格であるため、上場企業の経理財務部門や会計事務所などで活かされることが多く、ほとんどの企業は経理財務部門が存在しているため、企業ジャンルが関係ないのも大きなメリットです。
また、税理士事務所・会計事務所はもちろんのこと、税務会計コンサルティング企業も、簿記1級の極めて高度な知識がある人材は、「上場企業での経理業務経験5年以上」や「連結決算・開示業務経験」等が必須条件となっている場合もありますが歓迎されやすいです。
また、中小企業や小規模企業であっても会計係は必要ですし、事務員が経理業務も兼務していることもあり、簿記業務と事務系の仕事を全般的に任せられる人材を探していることもあるので、事務職全般で活かすこともできます。
日商簿記1級があれば40代未経験でも転職できる?
簿記1級は、受験資格はないため年齢・国籍関係なく簿記1級試験を受験することが可能ですので、40代未経験の人が転職のために資格取得するのであれば、門戸は開かれていることも理解しておきましょう。
年齢・国籍・経験は関係ない!?
40代だと資格だけではなく実務経験も重視される
一般的に40代となると即戦力としての実力が求められているため、学生や20代とは違い、40代であれば実務経験も重視されますので、全くの未経験だと厳しいというのが現実です。
簿記1級の資格を取得していれば極めて高度な簿記の知識があるのは明らかですが、知識と経験は全くの別物です。企業は従業員を長い時間をかけて戦力となるよう、育成しながら成果を出していくため、未経験であれば20代の若い人材を取ることが多くなっています。
未経験であれば簿記以外のアピール材料も必要
40代で経理などの実務経験がないのであれば、企業の戦力となるために「TOEICのスコアやファイナンシャルプランナー(FP)」等の国家資格など、アピールできる武器がないと厳しいです。
例えば、「簿記1級」と「TOEICの高スコア」を保有しているのであれば、外資系などの企業へ転職しやすく、経理を含めた事務員として働く場合は「簿記1級」と「ファイナンシャルプランナー(FP)」の資格が活かされることもあります。
企業にとってメリットとなる武器は1つよりも2つの方が良いですし、それだけ自身の評価が上がることになりますので、転職するときは若い人とも競争をすることになるため、プラスアルファーになるあなた独自の武器を準備しておくようにしましょう。
日商簿記1級のすごさって何?簿記1級活用法とは
日商簿記1級に合格し資格取得すれば経理や会計などの仕事に就きやすくなりますが、簿記1級のメリットはそれだけではなく、以下のような活用法もあります。
簿記1級資格を活かすために
簿記1級を取得すれば税理士を目指せる
簿記1級は非常に難易度が高い試験ですが、あくまで公的資格であり国家資格ではありません。
一方、税理士は国家資格ですし、税務に関する専門家としての国家資格ですので、受験するためには学歴や実務経験などが必要です。
しかし、簿記1級を取得していれば、学歴や実務経験などの条件も免除されるため、税理士試験の登竜門として合格を目指す人もいます。
もちろん税理士試験も難易度が高いですが、税理士になれば独立することも可能ですし、年収をアップさせることも可能で、合格すればより就職先の幅が広がります。

自分自身への様々なメリットがある
簿記1級を取得していれば簿記・会計の極めて高度な知識が増えるため、資産形成の面においても役立てることができ、ローンの返済や出入金なども計画しやすく、投資においても知識が役立つ場面が多いです。
また、経理財務部門などで働いている場合は、資格手当が付くこともあり、企業によって手当の金額が違いますが、3,000円~20,000円ほどプラスされることが多いです。